アメリカNBCドラマ『ブラックリスト』へのススメ①

〜プロローグ

このドラマの主人公は、善人ではない。
だが、圧倒的に美しい。
そしてあなたは、彼に“堕ちる準備”だけしておくといい。〜

ブラックリスト

 

なぜ今『ブラックリスト』なのか

 実は何気なく観始めた。
長らく米国のドラマを観ていなかった。
確か、2019年映画「ジョーカー」を観て、何だか辛くなってしまったのがきっかけかもしれない。Netflixでアジアの作品を主に視聴を続けているものの、観ている作品が終わると、似たような作品をお勧めしてくるから、重いものを観ていると、どんどん深みにハマる気がする。
 そんな気分の中、『ストレンジャー・シングス』が連続ドラマを再び視聴するきっかけとなった。このドラマのことは、また別の機会に...。

 

レイモンド・レディントンという男の魅力

レイモンド・レディントン役
ジェームズ・スペイダー

 超A級の国際犯罪者。元海軍軍人。通称、レッド。
突然FBIに出頭し、自分が関わった凶悪犯罪事件の犯人の“ブラックリスト”の情報に基づき、事件解決に協力すると申し出る。協力する代わりに自身の犯罪には免責を要求する。 レッドは、さまざまなコネクションを有し、まだFBIや世間には知られていない凶悪犯罪者までもリストにはある。その“ブラックリスト”から、毎回、犯人をリストアップして事件を解決していく。

 条件はもう一つ。
新任のFBI犯罪心理分析官、エリザベス・キーンを指名し、彼女にしか話をしないという。

エリザベス・キーン役
メイガン・ブーン

 エリザベス・キーンは、新米FBI捜査官。
突然、レッド(レイモンド・レディントン)より指名を受け困惑する。
実は、レッドはリズを前々から知り尽くしており、ストーリー全体に対して2人の関係の謎が横たわっている。

 『ブラックリスト』の犯罪は世界的な広がりが有り、なかなか内容が濃い。
組織的で、犯罪者同士が協力していることもある。
その上、アメリカのCIA、イギリスのMI6、イスラエルモサド、ロシアのSVRの関与も随所に散りばめられている。実にあらゆる犯罪を網羅している。

 一見すると、思い出すのは『羊たちの沈黙』ハンニバル・レクター博士と、クラリス捜査官の関係だ。著名な元精神科医で連続猟奇殺人を犯した囚人ハンニバル・レクターは、猟奇的殺人事件「バッファロー・ビル事件」解明のために、FBIから捜査協力を求められ、拒絶するものの、FBIアカデミー実習生のクラリススターリングに興味を示し、彼女になら協力する意思を見せた。似ている。

 しかし、レッドとレクター博士には決定的な違いがある。レッドは、犯罪者であり、哲学者であり、ときどき芸術家のような目をする。芸術に造詣が深く博識である。レッドは、銃と血の世界に生きているのに、心の奥には芸術と静寂を抱いているように思える。そこが彼の矛盾であり、美しさだ。
不遜な態度や行いはあるものの、弱者に対しては優しい。独自の美学があるのだ。

 レッドはリズに対して、必ず守る、そう言い続ける。
たびたび深い愛情を伺わせている。親子ほど年の差はある。リズは、なぜだか執着心を持たれていることを訝しむ。だがそれは、男女の中にあるようなものとは違う何かがあると、リズを見つめるレッドの眼差しが常に物語っているのだ。

 

ジェームズ・スペイダーの存在感

 この物語の本当の主題は、裏切りでも、犯罪でもない。
もっと深くて、静かで、優しい何かだ。
悍ましい犯罪の数々に顔を背けたくなったり、レッドのやり方に嫌悪感を持つけれど、なぜだか見終わる頃には、もう一度レッドに会いたくなるほどの魅力があることに気がつく。
 あともう一つ...。
この、レッドの目には見覚えがあった。
ジェームズ・スペイダー...
あぁ、この俳優は!

若き日のジェームズ・スペイダー
映画「プリティ・イン・ピンク」
ステッフ役

『マネキン』
『プリティ・イン・ピンク』
『セックスと嘘とビデオテープ』
『バッド・インフルエンス』
『ぼくの美しい人だから』
『クラッシュ』

 結構観てた。迂闊。
でも、変わりすぎている...?
いやいや、年を重ねてもかっこいいジェームズ・スペイダー
ボルサリーノの、黒のクラッシクフェドラの帽子がばっちり似合っている。
気品さえ漂う。レッドを引き立てるにふさわしい相棒なのだ。

 

私がこの作品に惹かれた理由

 他にも、レッドこだわりの美術品もさりげなく登場する。芸術、美術品に精通している。それらにも目を向けて、深掘りしていくのもなかなか面白くて、きっかけさえあれば、手に取りたくなる。ボルサリーノのパナマ帽も素敵だな、とか、レッドの秘蔵品の中のひとつにすぎないティファニーのアンティークのステンドグラスのライト、そこまで行かなくてもティファニー調のものでも丁寧に作られているのに手頃なものまであるな、など生活が彩られていくようで楽しい。

 登場人物、FBI特別捜査班の面々も、キャラクターが魅力的。
観て損はしない優れた作品なのだ。
お正月休みにイッキ見にもってこいの『ブラックリスト』。お勧め!
吹き替え版でひと通り視聴、二度目は吹き替えなしの字幕版の視聴を開始するまでハマってしまった。レッドの静かで響くような、でもささやくような声がまた魅力的なのである。
このドラマを語り出すと、私はいつも少しだけ熱くなる。
もしあなたがこの扉を開くなら──
続きを、ぜひここで一緒に。

 

このドラマの主人公は、初登場から“あなたを騙しにくる”。
なのに気がつけば惹かれてしまう──そんな奇妙な魅力の物語。

Borsalino

続きます!